PHOENIX BATTLE 162結果・戦評|片岡雷斗が東洋太平洋王座、田中将吾は逆転TKO

PHOENIX BATTLE 162結果・戦評|片岡雷斗が東洋太平洋王座、田中将吾は逆転TKO

2026年10月29日、後楽園ホールで「Lemino BOXING PHOENIX BATTLE 162」が行われました。片岡雷斗はアルアル・アンダレスを9回TKOで破り、プロ3戦目でOPBF東洋太平洋ライトフライ級王座を獲得。田中将吾は初回にダウンを奪われながら、野上翔に8回TKOで逆転勝ちしました。

富岡浩介、石井渡士也、坂井優太、片岡叶夢も勝利しました。この記事では、Leminoで全6試合を視聴した元プロボクサーとして、結果とともに距離やパンチの使い方を振り返ります。

目次

PHOENIX BATTLE 162の全試合結果

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試合勝者結果
アルアル・アンダレス vs 片岡雷斗片岡雷斗9回2分56秒 TKO
野上翔 vs 田中将吾田中将吾8回1分26秒 TKO
坂井優太 vs ペッチ・ソー・チットパッタナ坂井優太4回2分00秒 KO
石井渡士也 vs 二瓶竜弥石井渡士也3-0判定(97-93、100-90、100-90)
富岡浩介 vs 佐野篤希富岡浩介3-0判定(98-92、99-91、99-91)
片岡叶夢 vs ジャカパン・セーントーン片岡叶夢1回1分28秒 KO

※対戦相手の表記は大会側の表記に合わせました。勝敗・採点・決着時間の確認先は記事末尾に掲載しています。

片岡雷斗vsアルアル・アンダレス|足と角度で攻撃を外した片岡

片岡雷斗はアンダレスを9回2分56秒TKOで破り、OPBF東洋太平洋ライトフライ級王座を獲得しました。

私が最も印象に残ったのは、守備の落ち着きです。ロープ際でも大きく逃げず、足を軸に向きを変えて相手の正面から外れる。ガードを高く保ちながら、パンチの通り道もずらしていました。

そこからジャブを当て、ガードを固めたアンダレスには右アッパーや左ボディを通す。ワンツー、フック、アッパーと、前へ出るときの攻撃も多彩でした。動き続けながら攻撃に転じても姿勢が崩れず、長いラウンドを自分のリズムで戦えたことに驚かされました。

「倒せる場面でも試していたのでは」と感じるほど余裕のある試合運びでした。ただ、倒さずに戦う意図があったかどうかは映像だけでは分かりません。世界を見据えたとき、さらに厳しい圧力の中でもこの位置取りと攻撃の精度を保てるか。次に見たいのはそこです。

Lemino公式の第6試合ハイライトはこちらです。

野上翔vs田中将吾|初回のダウンから流れを変えた圧力

田中将吾が野上翔を8回1分26秒TKOで下し、OPBF東洋太平洋・日本フライ級の二冠を獲得しました。初回には野上が田中からダウンを奪っています。

野上は序盤、サウスポーから距離を測り、下がりながら隙を突いていました。田中が入ろうとしても、野上が足を使って正面から外れ、左ストレートを返す場面があります。田中にとって、長いパンチが届く距離に立ち続けるのは難しかったと思います。

流れが変わったのは、田中が圧力を強めて間合いを詰めてからです。野上の直線的なパンチが頭の上を通る場面が増え、田中は近づいた後も力任せに振らず、角度を変えながらアッパーやボディなど短いパンチを当てていました。初回のダウン後も、追い方を緩めなかったことが逆転につながったと見ています。

一方で、最後のレフェリーストップは、配信映像で見る限り早く感じました。野上も打ち返している最中だったからです。ただし、直前には田中がダウンを奪い返しており、リング上でレフェリーが見た野上の状態は映像からは判断できません。ストップの正誤は断定せず、私の観戦印象として残します。

Lemino公式の第5試合ハイライトはこちらです。

坂井優太vsペッチ|右ジャブから左ストレートへ

坂井優太はペッチ・ソー・チットパッタナに4回2分00秒KO勝ちしました。

初回は互いのスピードと強さが目につきましたが、2回以降は坂井の左ストレートが届く場面が増えます。長い右ジャブを速い踏み込みとともに出し、打ったら動き、動いたらまた打つ。ペッチに反撃のきっかけを与えにくいリズムを作っていました。

最後も、相手のジャブの打ち終わりに左ストレートを合わせたように見えました。大振りで倒すというより、序盤から届いていた左を正確に顎へ通した一撃です。坂井の強みは速さだけでなく、その速さのまま当てる位置を選べることだと思います。

Lemino公式の第4試合ハイライトはこちらです。

石井渡士也vs二瓶竜弥|中間距離で上回った石井

石井渡士也が二瓶竜弥に3-0の判定勝ち。採点は97-93、100-90、100-90で、OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王座の初防衛に成功しました。

石井は前へ出る圧力と、実際に当たるパンチの強さを両立していました。二瓶がガードを高く固めると、その下へ左右のボディを組み込む。中間距離でもジャブ、ワンツー、アッパーが届き、石井が先に攻撃を始める時間が長かったと感じます。

二瓶も各ラウンドの入りに自分から仕掛け、近い距離では打ち返しました。石井のガードの隙間にパンチが届く場面もあり、簡単に攻撃を諦めた試合ではありません。ただ、押されて下がると石井の得意な中間距離で向き合う時間が増えます。この位置取りが、採点差につながった一因ではないでしょうか。石井の安定した強さとともに、二瓶の粘りも印象に残りました。

富岡浩介vs佐野篤希|多彩なジャブで取り戻した距離

富岡浩介が佐野篤希に3-0の判定勝ち。採点は98-92、99-91、99-91で、WBOアジアパシフィック・フライ級王座を防衛しました。

初回は佐野が姿勢を低くして踏み込み、鋭いジャブで先手を取ったように見えました。しかし2回以降、富岡はその入り方に慣れ、下がりながらも自分のジャブを当て始めます。

富岡のジャブは一種類ではありません。高いガードから打つもの、隙間に短く差し込むもの、上下へ散らすもの。上体を少し前へ出し、拳を遠くまで届かせてから細かいステップで距離を調整するため、下がっても佐野を迎え撃てていました。私にはナジーム・ハメドを思わせる前手の使い方にも見えました。

左ストレートも独特です。肩を深く入れて上体をしならせるように打つため、同時に頭の位置が相手のパンチのラインからずれる場面がありました。佐野はまっすぐ追う時間が増え、富岡がその前進を読んでジャブやストレートを合わせる。富岡の距離の管理が、佐野の攻撃を直線的に見せた面もあると思います。

距離を握ってからはアッパー、フック、ボディと攻撃のテンポも上がりました。KOはなくても、パンチと足の選択が次々に変わる。見ていて楽しい試合でした。

片岡叶夢vsジャカパン・セーントーン|88秒でも見えた前手の工夫

片岡叶夢がジャカパン・セーントーンに1回1分28秒KO勝ち。短い試合で、長いラウンドでの対応力までは測れませんが、前手の使い方が印象的でした。

右リードを距離を測るために出し、ときには相手の前進を止めるように置く。前足を外へ置きながら内側からジャブを通すなど、サウスポーの位置取りと体格を生かしていました。

相手の右をかわして空いたところへ左ボディを打った場面も、攻守がつながったきれいな動きです。短時間で試合が終わったからこそ、次は相手に距離を詰められた後や、ラウンドが進んだときの対応を見たいと思います。

まとめ|距離を作る方法がそれぞれ違った6試合

片岡雷斗は角度と足で相手の攻撃を外し、富岡は多彩なジャブで遠い距離を保ちました。石井は中間距離で先手を取り、田中は距離を詰め直して逆転。坂井と片岡叶夢も、前手から決定打へつなぐ技術を見せています。

同じ「距離を取る」「距離を詰める」でも、選手によって方法は違います。次の試合では、今回うまくいった距離の作り方が、別の相手にも通じるのか。そこまで追いかけたいと思います。

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この記事を書いた人

元A級プロボクサー。26歳のとき、会社員として働きながらダイエットを目的にボクシングを始め、28歳でプロライセンスを取得。29歳でデビューし、37歳を目前に引退した。プロ通算戦績は15戦5勝8敗2分。

本業では、企業オウンドメディアのYouTubeスポーツ番組でディレクターを務める。RING LIVERARYでは、自身のリング経験とコンテンツ制作の知見をもとに、主に後楽園ホールで行われる国内興行の試合結果・戦評や注目選手の解説を発信。結果だけでなく、勝敗を分けたポイントや技術的な見どころまで、元プロの視点から掘り下げています。

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