松本流星vsアコスタ 結果・戦評|ボディを当て続けた組み立て

松本流星vsアコスタ 結果・戦評|ボディを当て続けた組み立て

2026年9月27日の「Prime Video Boxing 16」で、松本流星がラッセル・アコスタに3-0の判定勝ち。WBO世界ミニマム級暫定王座を獲得した。

筆者が注目したのはボディの数だけではない。松本は上への攻撃を見せ、アコスタが頭を下げるところへボディアッパーを合わせるなど、場面ごとに打ち方を変えていた。一方でアコスタも、松本の打ち終わりに右ストレートを返し、左フックで捉える場面を作った。

目次

公式結果と筆者の採点

項目内容
対戦松本流星 vs ラッセル・アコスタ
試合WBO世界ミニマム級暫定王座決定・12回戦
公式結果松本の判定勝ち(3-0)
公式採点115-113、116-112、118-110(いずれも松本)
筆者の採点116-112で松本

筆者は3、6、7、9回をアコスタ、それ以外の8ラウンドを松本に付けた。アコスタの反撃を評価したうえで、終盤は松本が10〜12回を取ったという採点だ。

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 123456789101112合計
松本10109101099109101010116
アコスタ9910991010910999112

※筆者の採点。公式ジャッジのラウンド別採点ではない。

筆者の採点では9回終了時に松本が86-85とわずか1点リードだった。そこから10〜12回をすべて松本に付け、116-112となる。アコスタの右と左フックを評価した接戦だったからこそ、最後に松本が距離を整えてポイントを積んだ意味は大きい。

JBCの採点票でも10〜12回はジャッジ3人がすべて松本に付けた。筆者と公式ジャッジでは中盤の評価に差があり、最終点差も115-113から118-110まで開いた。それでも、最後の3回は松本という評価が一致している。

アコスタの右に対し、松本はボディを重ねた

松本の右ジャブは2回ごろからアコスタに届き始めた印象がある。アコスタは力みの少ない右ストレートを松本の打ち終わりへ合わせ、4回にも松本の前手の戻り際を捉えた。両者とも、打ち終わりへの返しが速い。ただし、パンチを出す速度そのものは松本が上回っているように見えた。

松本はジャブなど上への攻撃を見せ、頭を下げたアコスタにボディアッパーを通した。単発でも、相手の打ち終わりでも、コンビネーションの最後でも腹を狙う。同じボディでも狙うタイミングを変えるため、アコスタには一つの動きだけで防ぎにくかったのだと思う。

上を見せて相手が頭を下げれば、ボディアッパーの通り道ができる。相手が攻撃を終えた直後なら、次のパンチへ移る前に下を狙える。コンビネーションの最後に打てば、顔への攻撃に注意が向いたところへボディを加えられる。筆者が松本のボディを評価したのは、一つの強打に頼らず、こうした複数の入り方を使っていたからだ。

4回の松本の攻勢(Prime Video Sport JPの投稿)

ボディが上への攻撃にもつながった

4回ごろから筆者には、松本のボディの蓄積がアコスタの動きに影響し始めたように見えた。後半には追い足の速度が落ちた印象もある。ただし、低下の原因がボディだけだったかは分からない。アコスタは最後まで強く振り、松本の顔にもストレートを返していた。

それでも、ボディを意識させた松本の上へのパンチが当たる場面は増えた。速い直線系のパンチを顔へ通したあと、最後にボディを添える。上下を行き来するこの組み立てが、松本の攻撃を単調にしなかった。

松本はリング中央で打ち合うだけでなく、適宜足を使って距離を作り直した。アコスタの前進を受けながらも、自分のパンチが届く位置を保てたことも大きい。

松本にも残った被弾の場面

アコスタの右ストレートだけでなく、左フックも怖かった。松本はサウスポーで、リードの右を出した後に右手が下がり気味になる場面があった。そこへアコスタの左フックが入る。相手がオーソドックスの場合、前手を使った後に空く側を狙われる危険がある。

筆者が3・6・7・9回をアコスタに付けたのは、そうした右と左フックの反撃も評価したためだ。松本の暫定王座獲得は明快な結果だが、アコスタの粘りと有効な返しを抜きにして内容を語ることはできない。

勝敗を分けたもの

松本の強みは、ボディを当てたことに加え、当てる場面を増やしたことだった。上を見せてから下へ、相手の攻撃後に下へ、連打の最後にも下へ。アコスタは打たれても前へ出たが、松本は距離を調整しながら上下の攻撃を重ね、筆者の採点では終盤3回を取り切った。

今後はボディを武器にしつつ、前手を打ち終えた後の左フックへの守りも見たい。

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この記事を書いた人

元A級プロボクサー。26歳のとき、会社員として働きながらダイエットを目的にボクシングを始め、28歳でプロライセンスを取得。29歳でデビューし、37歳を目前に引退した。プロ通算戦績は15戦5勝8敗2分。

本業では、企業オウンドメディアのYouTubeスポーツ番組でディレクターを務める。RING LIVERARYでは、自身のリング経験とコンテンツ制作の知見をもとに、主に後楽園ホールで行われる国内興行の試合結果・戦評や注目選手の解説を発信。結果だけでなく、勝敗を分けたポイントや技術的な見どころまで、元プロの視点から掘り下げています。

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