2026年9月27日の「Prime Video Boxing 16」で、WBC世界バンタム級王者の井上拓真が那須川天心との再戦に判定勝ちし、2度目の防衛に成功した。
筆者は12回中9回を井上に付け、最終採点は116-111。天心が7回にダウンを奪っても、井上は多くのラウンドで先にパンチを届かせ、相手の攻撃を外して反撃した。距離の判断やダウン後の対応に、井上のボクシング経験がどう表れたかを振り返る。
公式結果と筆者の採点
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対戦 | 井上拓真 vs 那須川天心 |
| 試合 | WBC世界バンタム級タイトルマッチ・12回戦 |
| 公式結果 | 井上の判定勝ち(3-0) |
| 公式採点 | 114-113、116-111、116-111(いずれも井上) |
| 筆者の採点 | 116-111で井上 |
筆者は2、4、7回を天心、残る9ラウンドを井上に付けた。7回はダウンを反映して天心の10-8。合計は井上116-111となる。公式ジャッジ2人と合計点は同じだが、各ラウンドの評価まで一致したという意味ではない。
| 選手 | 1R | 2R | 3R | 4R | 5R | 6R | 7R | 8R | 9R | 10R | 11R | 12R | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 井上 | 10 | 9 | 10 | 9 | 10 | 10 | 8 | 10 | 10 | 10 | 10 | 10 | 116 |
| 那須川 | 9 | 10 | 9 | 10 | 9 | 9 | 10 | 9 | 9 | 9 | 9 | 9 | 111 |
※筆者の自己採点。7回は那須川のダウン奪取を反映。
※筆者の採点。公式ジャッジのラウンド別採点ではない。
この採点では、6回終了時に井上が58-56でリード。天心が7回にダウンを奪ったことで、筆者の採点は66-66のイーブンに戻った。残る5回をどう見るかが勝敗を決める状態だったが、筆者は8〜12回をすべて井上に付けた。ダウンがあったのに点差が開いたのは、後半の各回を井上が取ったと見たためだ。

慎重な序盤から、井上の直線系パンチが届く展開へ
初回の天心は手数が少なく、慎重な立ち上がりに見えた。理由は本人にしか分からない。試合が進むと攻撃を出す場面も増えたが、筆者には井上のジャブ、ストレートといった直線系のパンチが中間距離で先に届く場面の方が多く映った。
井上は距離で天心のパンチを外すだけでなく、ダッキングでも攻撃線を外していた。一方、天心の強振は外れた後に井上の反撃を受ける場面があった。天心がパンチを振り切ることと、次の一手を出せる位置に残ることの両立は、この試合では難しかったように見える。
ガードの上を叩く手数だけで井上にポイントを付けたわけではない。筆者が重く見たのは、中間距離で先に届いた直線系のパンチと、天心の攻撃を外してから反撃できる位置にいたことだ。攻防のどちらにも井上が関われる時間が長く、天心は一発を狙っても次の攻撃につながりにくかった。
7回のダウンは天心の最良の一撃だった
7回、天心の左ストレートで井上がダウンした。筆者には、ワンツーの左が通常より遠くまで伸び、井上の反応が間に合わなかったように見えた。井上が距離を読み違えたかどうかは、映像だけでは断定できない。
ダウン後、天心は井上をロープ際へ追った。しかし、そこで連続して有効打を重ねて仕留めるところまではいかなかった。井上が無理に打ち合わず、カウンターを返せる位置を保ったため、天心が一気に踏み込むことをためらった可能性がある。ダウンのダメージの程度も外からは分からないが、その後の動きを見る限り、井上は試合を続けるだけの態勢を立て直したと筆者は見た。
8回以降、なぜ井上にポイントを付けたか
筆者は8〜12回をすべて井上に付けた。中間距離で向き合う時間が戻ると、井上のジャブやストレートが当たり、天心の攻撃は距離やダッキングで外される場面があったからだ。
JBCの採点票でも、8・9・11回はジャッジ3人がそろって井上を支持している。10回は2人が井上、1人が天心。12回は1人が井上、2人が天心だった。筆者は後半5回をすべて井上に付けたが、公式の評価と一致したのは8・9・11回である。とくにダウン直後の8回を3人とも井上に付けた点は、7回の一撃の後も井上がポイントを重ねたことを示している。
天心は7回にダウンを奪ったものの、ロープ際で井上の移動先を塞ぎながら攻撃を続けられなかった。この試合の後半に限れば、追い込んだ後の次の一手が不足した印象だ。井上も一方的に攻め続けたわけではないが、先に触れ、反撃を外すという攻防を積み重ねたことで、筆者には各ラウンドの優勢が明確になった。
返り討ちを支えたボクシング経験
井上は中間距離でジャブやストレートを先に届かせ、天心の攻撃を距離やダッキングで外して反撃につなげた。7回にダウンを奪われた後も無理に打ち合わず、次の回からポイントを重ねた。距離を測る判断、攻防を切り替える速さ、倒された後の試合運びに、井上のボクシング経験が表れたと筆者は考える。筆者の採点では前半6回のうち4回、後半6回のうち5回を井上が取った。
天心が次に井上を攻略するなら、パンチを当てた後の位置取りや、ロープ際で相手の逃げ道を制限する攻め方が一つの論点になる。ただし、次戦の予定については正式発表を待ちたい。





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