【DANGANオール4回戦 結果】藤原季節のデビュー戦など全11試合を元A級プロが戦評

【DANGANオール4回戦 結果】藤原季節のデビュー戦など全11試合を元A級プロが戦評

2026年9月1日、後楽園ホールで「DANGANオール4回戦」が開催されました。

予定されていた徳村優己選手(KG大和)vs竹森青選手(RE:BOOT)は、徳村選手の棄権により中止。興行は全11試合で行われ、13人の選手がプロデビューを迎えました。

なかでも注目を集めたのが、俳優として活動する藤原季節選手のプロデビュー戦です。藤原選手は同じくデビュー戦の松村航選手と対戦し、松村選手が1ラウンド2分6秒TKOで勝利しました。本記事ではこの一戦だけでなく、全11試合を通して見えた4回戦の分岐点を取り上げます。

オール4回戦という興行名のとおり、すべて最大4ラウンドの短期決戦です。試合時間が短いからこそ、立ち上がりの遅れや一度のダウンが結果へ大きく影響します。

今回の11試合を通じて特に印象に残ったのは、相手の前進を止める手段を持っているか、そして自分の距離をどちらが先につくれたかという点でした。

この記事では全試合の結果とともに、元A級プロボクサーとして勝敗を分けたと感じた攻防を、メインイベントから順に振り返ります。

※以下の試合内容と技術的な評価は、配信映像を視聴した筆者個人の分析です。選手や陣営の意図を断定するものではありません。

目次

DANGANオール4回戦の開催概要

項目内容
興行名DANGANオール4回戦
開催日2026年9月1日(火)
会場後楽園ホール
主催DANGANプロモーション
試合数全11試合
配信BOXING RAISE

4回戦の特徴やC級ライセンスとの関係については、以下の記事で詳しく解説しています。

ボクシングの4回戦・6回戦・8回戦は何が違う?

全11試合の結果一覧

試合対戦カード結果
Sバンタム級4回戦馬場友成 vs 鈴木幹大馬場が2R TKO勝ち
Sバンタム級4回戦堀内文太 vs スレスタ・ニクソンニクソンが3R TKO勝ち
フェザー級4回戦竹内康太 vs 狩野舜竹内が1R KO勝ち
Sバンタム級4回戦松村航 vs 藤原季節松村が1R2分6秒 TKO勝ち
Sフライ級4回戦田邊温大 vs 栗林和信田邊が判定3-0(39-37×3)
ミニマム級4回戦神保京誠 vs 大澤陽大澤が判定3-0(39-36×3)
ウェルター級4回戦武礁太 vs 佐々木一真佐々木が1R TKO勝ち
ウェルター級4回戦ドゥールスン・ハリル vs 渡辺大貴ハリルがTKO勝ち
バンタム級4回戦松田吉隆 vs カズオ・ニシカワ松田が判定3-0(39-37×2、40-36)
フライ級4回戦篠原尚弥 vs 小林優樹小林が判定2-1(38-37×2、37-38)
ライト級4回戦山口活和氣 vs 村上陽判定1-0の引き分け(40-36、38-38×2)

※松村航vs藤原季節以外のKO・TKOの正式な時間は、JBCの公式結果公表後に確認して追記します。

全11試合で見えた4回戦の分岐点

今回の興行では、前へ出る選手と、足を使って迎え撃つ選手の対戦が多く見られました。

前進しているだけでポイントになるわけではありません。JBCの採点では、有効打を伴わない単なる前進は評価されないからです。

ただし、下がる側が明確なカウンターを返せず、相手の前進によって動かされ続けると、試合の主導権を渡したように映りやすくなります。

反対に、馬場友成選手や田邊温大選手のように、足で距離を外した直後にジャブやカウンターを返せれば、下がりながらでも試合をコントロールできます。

今回の興行で見えた3つの分岐点
  • 前へ出る相手を止めるパンチがあるか
  • 自分の距離を先につくれるか
  • ダウンや被弾のあとに試合を立て直せるか

馬場友成vs鈴木幹大|足とリターンジャブで前進を封じた

結果:馬場友成が2R TKO勝ち

ともにサウスポー。序盤は鈴木幹大選手が先手を取って前へ出ましたが、馬場友成選手はバックステップとジャブで距離を保ちます。

鈴木選手が踏み込むと、馬場選手は一度距離を外してからリターンのジャブを返しました。単に逃げるのではなく、バックステップと次の攻撃が連動していたため、鈴木選手は前進しても自分の距離へ持ち込めません。

2ラウンド、馬場選手が鈴木選手のジャブの打ち終わりに左ストレートを合わせます。鈴木選手がぐらついたところを見逃さず、馬場選手が連打をまとめたところでレフェリーが試合を止めました。

元プロとして注目したポイント

馬場選手の強みは、アマチュア経験を感じさせる細かなステップと、足の動きに連動したリターンジャブです。

バックステップで外すだけではなく、すぐにステップインしてジャブを返すことで、鈴木選手の前進を止めていました。

鈴木選手は先に仕掛けていましたが、馬場選手の足を捉え切れないまま踏み込む場面が増え、その入り際を狙われたことが勝敗につながったと考えます。

堀内文太vsスレスタ・ニクソン|圧力をかけ続けて右を通す

結果:スレスタ・ニクソンが3R TKO勝ち

サウスポーの堀内文太選手に対し、オーソドックスのスレスタ・ニクソン選手が直線的に距離を詰めていきました。

堀内選手はリングを広く使い、フックを引っかけて体を入れ替えるなど、序盤はニクソン選手の前進へ対応します。入り際にパンチを合わせる場面もあり、簡単には正面へ立ちませんでした。

それでもニクソン選手は上体を低くしながら前進を続け、強いパンチを振って圧力をかけます。3ラウンドに右のオーバーハンドが堀内選手を捉え、その後の追撃でダメージが深くなったところでストップとなりました。

元プロとして注目したポイント

堀内選手は序盤までフックや足で対応していましたが、試合全体ではニクソン選手の圧力によって動かされる時間が長くなりました。

4回戦では、前進してくる相手をどこかで止めなければ、流れを変える時間が少なくなります。ニクソン選手は技巧的に距離を組み立てるというより、低い姿勢からの前進と強振を続けることで、自分の持ち味を押し出しました。

竹内康太vs狩野舜|ワンツー後のジャブと近距離の右

結果:竹内康太が1R KO勝ち

竹内康太選手が開始直後から勢いよく仕掛け、そのまま試合を決めました。

印象に残ったのは、ワンツーを打って終わるのではなく、その後にもう一度ジャブを出していたことです。最初の攻撃へ反応した狩野舜選手の顔を、続けて出したジャブが捉えていました。

さらに近い距離では、相手の肩越しからコンパクトな右を通して顎を捉えます。遠い距離で始めた攻撃を近距離までつなげ、短時間で決着へ持ち込みました。

元プロとして注目したポイント

ワンツーで攻撃を区切らず、追加のジャブを出したことで、狩野選手へ守り直す時間を与えませんでした。

近距離の右も大きく振らず、相手の肩越しを通す軌道だったため、狭い間合いでも有効打になったと考えます。

松村航が俳優・藤原季節とのデビュー戦対決を1回TKOで制す

結果:松村航が1R2分6秒 TKO勝ち

ともにプロデビュー戦。序盤はオーソドックスの藤原季節選手が積極的に手を出しました。

サウスポーの松村航選手は、早い段階で細かなステップを使い始めます。藤原選手の直線的な攻撃に対し、出入りしながら距離を調整し、近づくと回転の速いコンビネーションを返しました。

藤原選手の顔を右で捉えたあたりから、松村選手の踏み込みとパンチの距離が合い始めます。さらにボディーへパンチを集めると、藤原選手の運動量が落ち始めました。

松村選手は左右のボディーから顔面への連打につなげ、1ラウンドでTKO勝ちを収めました。

元プロとして注目したポイント

松村選手は有効打を当てたあと、勢いだけで顔を狙い続けず、ボディーへ攻撃を散らしました。下へのダメージによって藤原選手の動きを落とし、最後のラッシュへつなげた組み立てが効果的でした。

藤原選手は序盤から思い切って攻めました。一方で攻撃がワンツー中心になり、松村選手に距離とタイミングを合わせられました。動きに硬さはありましたが、初めての公式戦で自分から仕掛ける姿勢を見せています。

田邊温大vs栗林和信|届かせずに返す距離感

結果:田邊温大が判定3-0(39-37×3)で勝利

田邊温大選手が序盤から積極的に仕掛け、試合の主導権を握ります。

2ラウンド以降は足を使って下がりながら戦いましたが、距離設定が崩れません。栗林和信選手のパンチを外すと、すぐにジャブやカウンターを返し、追う側に反撃のきっかけを与えませんでした。

4ラウンドは栗林選手が圧力を強めましたが、田邊選手は下がりながらも的確にパンチを当て、判定3-0で勝利しました。

元プロとして注目したポイント

田邊選手のジャブは、自分のパンチだけが届き、栗林選手のリターンがわずかに届かない距離から出ていました。

顔へ攻撃を集めたあとにボディーを織り交ぜるなど、上下の打ち分けもできています。下がっていても有効打を返し続けたため、栗林選手へ主導権を渡しませんでした。

神保京誠vs大澤陽|1Rのダウンと交換時の回転力

結果:大澤陽が判定3-0(39-36×3)で勝利

ともにサウスポーのデビュー戦。軽量級らしい速い出入りとジャブの応酬から始まりました。

1ラウンド、近い距離でパンチが交錯した場面で、大澤陽選手の右フックが入りダウンが生まれます。その後も両者は速いテンポでパンチを返し合い、大澤選手のパンチが神保京誠選手を明確に捉える場面がありました。

神保選手もダウン後に消極的にならず、前へ出てパンチを返します。判定は大澤選手の勝利となりましたが、両者の反応の速さと駆け引きが見られる試合でした。

元プロとして注目したポイント

勝敗を大きく分けたのは、1ラウンドのダウンです。それに加えて、近距離でパンチが交錯したとき、大澤選手の方が先に次のパンチへつなげる場面が多く見られました。

一方の神保選手も、ダウン後に前へ出続けた気持ちの強さが印象に残ります。18歳という年齢を考えても、今後の成長を見たい選手です。

武礁太vs佐々木一真|至近距離で生まれた一瞬の隙

結果:佐々木一真が1R TKO勝ち

サウスポーの武礁太選手と、オーソドックスの佐々木一真選手によるデビュー戦です。

序盤から近い距離でパンチが交錯し、両者のストレートが当たる場面がありました。

至近距離でもつれるような形になったところで、佐々木選手の右ショートが入ります。武選手の動きが止まったところへ、佐々木選手が右ストレートを続け、試合が決まりました。

元プロとして注目したポイント

近距離では相手との距離が短いぶん、わずかにガードが開いただけでもパンチが届きます。

佐々木選手はその一瞬を逃さず、最初の右を当てたあとも攻撃を止めませんでした。短期決戦では、一度の被弾から展開が一気に変わることを示す決着でした。

ドゥールスン・ハリルvs渡辺大貴|前進と強振を最後まで続ける

結果:ドゥールスン・ハリルがTKO勝ち

ドゥールスン・ハリル選手が強いパンチを振りながら前進し、渡辺大貴選手へ圧力をかけました。

渡辺選手はジャブで距離を取りたいところでしたが、ハリル選手の前進を止め切れず、近い距離の打ち合いへ巻き込まれます。

ハリル選手はパンチを振り続け、左フックで渡辺選手をよろけさせると、そのまま追撃してTKO勝ちを収めました。

元プロとして注目したポイント

ハリル選手は細かな技巧で組み立てるタイプというより、スタミナを土台に前進と強振を続けることが大きな武器です。

前進そのものが採点されるわけではありません。しかし、追われる側が明確な有効打を返せなければ、相手の攻勢を受け続けているように映ります。

渡辺選手が体格を生かして長いジャブと足で距離を保ち、接近された際に左ボディーなどで前進を警戒させられれば、異なる展開も考えられました。ただ、今回はハリル選手が自分の強みを最後まで押し通しました。

松田吉隆vsカズオ・ニシカワ|上下に散らす攻撃で主導権を握る

結果:松田吉隆が判定3-0(39-37×2、40-36)で勝利

ともにオーソドックスのデビュー戦。松田吉隆選手がジャブを突きながら前へ出て、カズオ・ニシカワ選手が下がりながら強いパンチを返す展開になりました。

松田選手はワンツーやフックだけでなく、左ボディーも交えて攻撃を上下へ散らします。ニシカワ選手も接近戦では左右のアッパーやフック、左ボディーを振り、独特の攻撃を見せました。

ニシカワ選手は下がりながら左手を低く構え、フリッカージャブを出す場面もあります。それでも試合全体では、前進しながら有効打と手数を重ねた松田選手が主導権を握り、判定勝ちしました。

元プロとして注目したポイント

松田選手は顔だけを狙わず、左ボディーを入れてから上へ戻すなど、デビュー戦ながら攻撃を上下へ打ち分けていました。

ニシカワ選手も、近距離のアッパーや強いフック、下がりながらのフリッカージャブなど、今後伸ばせそうな特徴があります。足運びが安定し、低く構えた左を攻撃と防御の両方へつなげられれば、さらに持ち味が出ると感じました。

篠原尚弥vs小林優樹|ダウン後に3ラウンドを取り返した逆転

結果:小林優樹が判定2-1(38-37×2、37-38)で勝利

両者ともアマチュア経験があり、ジャブの差し合いから始まる技術戦となりました。

小林優樹選手のジャブは速く、細かなフットワークからワンツーやコンビネーションへつなげます。一方、篠原尚弥選手は少し離れた位置から肩を入れて打つ、重さのあるジャブが特徴的でした。

1ラウンド、その篠原選手のジャブが小林選手を捉え、ダウンを奪います。

小林選手はカウント中に慌てて立ち上がらず、回復する時間を取ってから試合へ戻りました。2ラウンド後半から手数を増やし、3ラウンド以降はボディーやアッパーを交えながら、ガードの固い篠原選手を崩していきます。

判定は2-1。小林選手がダウンを奪われながら、後半の3ラウンドを取り返して逆転しました。

元プロとして注目したポイント

ダウンを奪われたあとも試合を投げず、残りのラウンドを一つずつ取り返した小林選手の修正力とスタミナが光りました。

篠原選手は強いジャブと固いガードを持っています。ダウン後に小林選手を追う足と、ジャブから次の攻撃へつなげる展開が増えれば、持ち味をさらに生かせそうです。

山口活和氣vs村上陽|右ストレートとワンツーが交錯したドロー

結果:判定1-0の引き分け(40-36、38-38×2)

オーソドックスの山口活和氣選手と、プロデビュー戦となるサウスポーの村上陽選手の対戦です。

1ラウンド序盤は、村上選手がサウスポーの距離からジャブと左ストレートを出し、先に流れをつくりました。

山口選手もボディージャブを起点に距離を合わせ、力みの少ない右ストレートを当て始めます。村上選手は顔の前へ高くガードを構え、思い切りのよいワンツーで応戦しました。

3ラウンド以降は中間距離から近距離でパンチが交錯する場面が増えます。山口選手はノーモーションの右を当て、打ち終わりにはウィービングやダッキングで頭を動かしました。

4ラウンドは村上選手が強いワンツーを振り、最後は両者が接近戦で打ち合って終了。判定は1-0の引き分けとなりました。

元プロとして注目したポイント

山口選手はサウスポーに対して右ストレートが通る位置を取り、強振だけでなく、力を抑えた右も細かく当てていました。右を打ったあとに頭を動かし、右手を顔へ戻すなど、打ち終わりの防御も意識しています。

村上選手の思い切りのよいワンツーは見栄えがよく、当たればダメージを与えられるパンチでした。一方で顔面狙いが多かったため、返しの右ボディーや近距離の左などが加われば、攻撃の幅がさらに広がると感じました。

個人的にも引き分けは妥当だと思いましたが、1人のジャッジがつけた40-36は、私の採点感覚とはかなり隔たりがあります。同じ試合でも、どの有効打や主導権を評価するかによって採点が分かれる例といえます。

ボクシングの採点基準とは?判定5連敗を経験した元A級プロが解説

BOXING RAISEで実際の攻防を確認する

今回取り上げた距離の駆け引きや、ダウン後の立て直しは、文章だけでは伝わりにくい部分もあります。

本興行はBOXING RAISEでライブ配信されました。アーカイブ配信の有無や現在の公開状況は、公式サイトで確認してください。

BOXING RAISEでDANGANオール4回戦を確認する

まとめ|4回戦でも自分の距離を早くつくれるかが重要

DANGANオール4回戦は、11試合中6試合がKO・TKO決着となりました。

短いラウンドの中で特に目立ったのは、次の3点です。

  • 馬場友成選手や田邊温大選手が見せた距離の支配
  • スレスタ・ニクソン選手やドゥールスン・ハリル選手が見せた前進と圧力
  • ダウン後に試合を立て直した小林優樹選手の修正力

4回戦では、様子を見ている間に試合が終わることがあります。前へ出るにしても、足を使って迎え撃つにしても、自分の距離と展開を早い段階でつくれるかが重要です。

完成度だけでなく、現時点でどのような武器を持っているかが見えるのも、デビュー戦や4回戦を観戦する面白さだと思います。

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この記事を書いた人

元A級プロボクサー。26歳のとき、会社員として働きながらダイエットを目的にボクシングを始め、28歳でプロライセンスを取得。29歳でデビューし、37歳を目前に引退した。プロ通算戦績は15戦5勝8敗2分。

本業では、企業オウンドメディアのYouTubeスポーツ番組でディレクターを務める。RING LIVERARYでは、自身のリング経験とコンテンツ制作の知見をもとに、主に後楽園ホールで行われる国内興行の試合結果・戦評や注目選手の解説を発信。結果だけでなく、勝敗を分けたポイントや技術的な見どころまで、元プロの視点から掘り下げています。

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