2026年9月8日、後楽園ホールで「Lemino BOXING PHOENIX BATTLE 160」が開催されました。
メインでは池側純選手が日本スーパーバンタム級王座の2度目の防衛に成功。セミファイナルでは今永虎雅選手がOPBF東洋太平洋ライト級王座を初防衛しました。
スーパーフェザー級1000万円トーナメント準決勝では、木谷陸選手と渡邊海選手が決勝へ進出しています。
この記事では、Leminoの配信映像を視聴した元A級プロボクサーの視点から、全6試合の結果と勝敗を分けたポイントを振り返ります。
※本記事にはアフィリエイト広告を含みます。
※試合展開と技術に関する記述は、配信映像を視聴した筆者個人の分析です。選手や陣営の意図を断定するものではありません。
PHOENIX BATTLE 160の全試合結果
- 池側純 vs 鶴海高士:池側が判定3-0(98-92、98-92、99-91)で勝利
- 今永虎雅 vs ジュン・ミンホ:今永が判定3-0(97-93、98-92、99-91)で勝利
- 木村蓮太朗 vs 渡邊海:渡邊が2R36秒TKO勝利
- 松本圭佑 vs 木谷陸:判定1-1の引き分け。優勢点で木谷が決勝進出
- 荒竹一真 vs カート・ジョン・パブラル:パブラルが8R34秒TKO勝利
- 大沼ケン vs 松田尚之:大沼が判定3-0(39-37×3)で勝利
Lemino公式は興行終了後、全試合の見逃し配信を案内しています。
本興行はLeminoプレミアムで見逃し配信を確認できます。
※配信期間や視聴条件は変更される場合があります。申込前に配信ページをご確認ください。
池側純vs鶴海高士|距離の錯覚を最後まで崩させなかった
試合結果
日本スーパーバンタム級タイトルマッチ10回戦は、王者・池側純選手が3-0(98-92、98-92、99-91)の判定勝ち。2度目の防衛に成功しました。
鶴海の前進に池側がカウンターを合わせる
池側選手がサウスポー、鶴海選手がオーソドックス。鶴海選手は初回から積極的に前へ出て、リードを使いながら自分の位置を作ろうとします。
池側選手は、入ってくる相手へパンチを合わせる形です。鶴海選手がジャブとともに踏み込んでも、バックステップで距離を伸ばし、間合いが詰まる瞬間に右ジャブや左ストレートを返していました。
池側選手は前手を大きく置き、重心を後ろへ残した低い構えを取ります。鶴海選手からすれば、実際のリーチ以上に懐が深く、距離が遠く感じられたはずです。
アッパーが鶴海の踏み込みを難しくした
池側選手はストレートだけでなく、前手のアッパーや近い距離での左アッパーも見せました。鶴海選手が強引に入ろうとすれば、下からカウンターが飛んできます。
アッパーを意識させればストレートが通り、ストレートを警戒させればアッパーが生きる。一つのパンチが次の攻撃の布石になっていました。
今回の勝敗を分けたのは、池側選手が作る距離の錯覚を、鶴海選手が最後まで崩せなかったことです。私の目には、距離操作とカウンターの選択肢で池側選手が二枚、三枚上手に映りました。
今永虎雅vsジュン・ミンホ|前手と外足を制し、後半に差を広げた
試合結果
OPBF東洋太平洋ライト級タイトルマッチ10回戦は、王者・今永虎雅選手が3-0(97-93、98-92、99-91)の判定勝ち。初防衛を果たしました。
前半は一瞬の位置取りを争う緊張感
今永選手がサウスポー、ジュン・ミンホ選手がオーソドックス。中間距離で前手を出し合い、ストレートを打つ位置を探る展開から始まりました。
ジュン・ミンホ選手は、リードフックやストレートなど軌道を変えながら右を狙います。今永選手も相手をよく見て、距離とポジションを少しずつ修正していました。
互いに前へ入る瞬間には短いストレートが交錯します。オーソドックス対サウスポーらしい、真剣で一瞬を切り合うような緊張感のある前半です。
6R以降は今永のボディーと踏み込みが機能
6R以降、今永選手はそれまでより前へ出る時間を増やしました。内側から出す右ジャブに加え、左ストレートと左ボディーストレートを上下へ打ち分けます。
右のリードをフリッカージャブのように下から顔へ突き上げ、同じ手をボディーにも伸ばすため、ジュン・ミンホ選手は軌道を読みづらかったはずです。
今永選手は一瞬の踏み込みも鋭く、相手の前足の外側へポジションを取ってから左を深く打ち込みました。終盤になっても踏み込みの速度とパンチの出力が落ちず、むしろ差を広げています。
ジュン・ミンホ選手も、やや遠い位置からリードやストレートを出して今永選手を警戒させました。しかし後半はパンチの力強さが落ち、今永選手のボディーと打ち終わりへのリターンが目立つ展開となりました。
木村蓮太朗vs渡邊海|左ボディーが左フックへの反応を遅らせた
試合結果
スーパーフェザー級1000万円トーナメント準決勝は、渡邊海選手が2R36秒TKO勝利。決勝進出を決めました。
渡邊が2度のダウンを奪って決着
木村選手はサウスポー。開始から仕掛けましたが、入り方にはやや強引さがありました。渡邊選手は慌てず、前手で距離を測りながら試合を組み立てます。
2R、渡邊選手が左フックから右ストレートをつなぎ、最初のダウンを奪いました。再開後も同じ流れから攻撃をまとめ、2度目のダウン。レフェリーが試合を止めています。
私が注目したのは、最初のダウンより前に渡邊選手が左ボディーを当てていたことです。ボディーへの意識を作ったことで、木村選手の左フックへの反応が遅れ、その後の右ストレートまでつながったと見ています。
KOパンチだけを切り取るのではなく、その前に何を見せ、どこへ意識を向けさせたのか。渡邊選手の左ボディーは、短い試合の中でも重要な伏線でした。
2度のダウンから決着までの流れは、Lemino公式のハイライトでも確認できます。
松本圭佑vs木谷陸|手数と前進か、少ないパンチの精度か
試合結果
同トーナメント準決勝は1-1(77-75で木谷、77-75で松本、76-76)の引き分け。大会規定の優勢点により、木谷陸選手が決勝へ進みました。
松本のジャブと木谷の多彩な左
木谷選手が距離を詰め、松本選手は間合いを保ちながら入ってくるところへパンチを合わせます。1Rは互いに距離を探る展開でしたが、2Rから松本選手がギアを上げ、ジャブの連打から右ストレートへつなげました。
松本選手のジャブは予備動作が少なく、非常に見えにくいパンチです。ハイガードからのジャブと、左手を下げた位置からのフリッカージャブを使い分け、フックも混ぜます。パンチの種類だけでなく、出す位置とタイミングによって左の変化を作っていました。
一方の木谷選手は、左ボディー、左アッパー、左フックと左の使い分けが豊富です。松本選手のジャブへカウンターをかぶせ、そのあとを左ボディーで終えるなど、攻撃後のバランスにも崩れがありません。
採点が難しかった理由
中盤以降、木谷選手は前へ出て手数を増やし、近い距離では的確にボディーを当てます。松本選手も木谷選手の圧力に慌てず、ジャブやワンツーで迎え撃ちました。
松本選手の良さは、必要以上に大きく動かず、自分のパンチが生きるぎりぎりの距離を小さなステップで保てることです。大きく下がらなくても、鋭いジャブとワンツーを打てます。
ただし終盤は木谷選手の前進と手数が目立ちました。前へ出る木谷選手と、パンチ数を絞って的確に当てる松本選手。どちらを評価するかによって採点が分かれやすく、ポイントを付けるのが難しい試合です。
判定の見方や有効打・攻勢の考え方は、以下の記事で詳しく解説しています。
ボクシングの採点基準を元A級プロが解説|10ポイント・マスト・システムと判定の見方
荒竹一真vsカート・ジョン・パブラル|前進を止められず8Rストップ
試合結果
49.0kg契約8回戦は、カート・ジョン・パブラル選手が8R34秒TKO勝利。荒竹一真選手はプロ2敗目となりました。
2Rのダウンで試合の流れがパブラルへ
両者ともサウスポー。パブラル選手がリング中央から圧力をかけ、荒竹選手はリングを広く使いながら右ジャブを出します。
2R、両者の前手が同時に出た場面で、パブラル選手の右リードがカウンター気味にヒット。荒竹選手がダウンしました。
パブラル選手はガードを固めて距離を詰めると、速いコンビネーションをまとめます。ワンツーだけで終わらないため見栄えもよく、パンチ自体の力強さもありました。
荒竹選手は足を使っていましたが、自分の意思で動いているというより、パブラル選手の圧力によって歩かされる時間が長くなります。動かし続ける側のパブラル選手には休む時間が生まれ、強振を繰り返せる展開でした。
荒竹選手も途中から距離を合わせ、カウンターを狙う場面はありました。しかし2Rにダウンを奪われ、ポイントでも追う状況です。どこかで足を止めて打ち合い、相手の前進を警戒させる必要がありました。
パブラル選手の前へ出ながら振り抜く強打は、私にはジョンリエル・カシメロを思わせました。最終8R、荒竹選手の出血により試合が止められ、パブラル選手のTKO勝利となっています。
大沼ケンvs松田尚之|ジャブとフットワークで大沼が距離を支配
試合結果
日本ヘビー級育成タイトルマッチ4回戦は、大沼ケン選手が3-0(39-37×3)の判定勝ちを収めました。
松田が詰め切れず、大沼がポイントを重ねる
大沼選手は足を動かしながら距離を保ち、ジャブを突きます。松田選手は上体を揺らしてジャブを外し、頭をずらしながら距離を詰めようとしました。
大沼選手は時折ボディーストレートを当て、松田選手の入り際にはカウンターも狙います。大きなダメージを与えるパンチは少なかったものの、遠い距離から先に当て、見栄えよくポイントを拾いました。
松田選手は後半に前進を強めましたが、距離の差を最後まで埋め切れません。前半からボディーを中心に攻め、下を意識させてから顔を狙えていれば、後半の展開は変わった可能性があります。
4Rという短い試合では、相手の距離を攻略するまでに使える時間が限られます。大沼選手のジャブ、距離感、フットワークが、その短さの中で有効に働いた試合でした。
全6試合で見えた3つのポイント
今回の興行では、試合ごとに異なる形の「距離の支配」が見えました。
- 池側選手は構えと重心によって、実際以上に遠い距離を作った
- 今永選手は前手と外足を使い、後半に左を打ち込む位置を確保した
- 大沼選手はジャブとフットワークで、松田選手に自分の距離を渡さなかった
さらに、木谷選手と松本選手の試合では「前進と手数」と「有効打の精度」がぶつかり、採点が割れました。渡邊選手は左ボディーを伏線に使い、フィニッシュにつながる左フックと右ストレートを通しています。
単に前へ出る、あるいは強いパンチを振るだけではありません。相手が嫌がる距離を作り、次のパンチを当てるために何を見せるか。そこが6試合を通して印象に残りました。
LeminoでPHOENIX BATTLE 160の見逃し配信を確認
PHOENIX BATTLE 160は、Leminoプレミアムで見逃し配信を確認できます。
池側選手の距離の作り方、今永選手の後半の踏み込み、渡邊選手がダウンを奪う前に打った左ボディーなどは、映像で見るとより分かりやすいポイントです。
Leminoの料金や登録方法、ボクシング配信の視聴手順は以下の記事で解説しています。
Leminoでボクシングを見る方法|料金・登録・視聴手順を解説
まとめ|王者2人が防衛し、Sフェザー級決勝は木谷vs渡邊へ
PHOENIX BATTLE 160では、池側純選手が日本スーパーバンタム級王座を2度目の防衛。今永虎雅選手もOPBF東洋太平洋ライト級王座の初防衛に成功しました。
スーパーフェザー級1000万円トーナメントは、木谷陸選手と渡邊海選手が決勝へ進出。前進と接近戦を持ち味とする木谷選手に対し、渡邊選手が今回見せたカウンターと決定力をどう発揮するのか、注目したい組み合わせです。
一方、パブラル選手はアマ8冠の荒竹選手からダウンを奪い、最終8RにTKO勝利。全6試合を通して、実績や事前評価だけでは決まらないボクシングの難しさが表れた興行でした。
国内ボクシングの今後の配信予定は、以下の記事で随時更新しています。


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