【浅井レイトvs宮川晟 結果・戦評】移籍初戦で見えた接近戦とジャブの攻防

【浅井レイトvs宮川晟 結果・戦評】移籍初戦で見えた接近戦とジャブの攻防

2026年9月5日、後楽園ホールで開催された「DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.47」。浅井レイト選手(JB SPORTS)と宮川晟選手(横浜光)による、ミニマム級6回戦が行われました。

結果は、宮川選手が判定2-0で勝利。浅井選手が前進して接近戦を作り、宮川選手が長いジャブと左ストレートで迎え撃つ、距離の攻防が印象に残る試合です。

私が浅井選手に関心を持った背景には、パラアスリートを取材してきた経験があります。しかしゴングが鳴ったあとは、身体的な特徴よりも、構えや距離の詰め方、接近戦での攻防に目が向きました。

この記事では、元A級プロボクサーの視点から、浅井レイトvs宮川晟の結果と勝敗を分けた攻防を振り返ります。

※試合展開と技術に関する記述は、配信映像を視聴した筆者個人の分析です。選手や陣営の意図を断定するものではありません。

目次

浅井レイトvs宮川晟の試合結果

項目内容
興行DYNAMIC GLOVE on U-NEXT vol.47
開催日2026年9月5日
会場後楽園ホール
契約ミニマム級6回戦
赤コーナー浅井レイト(JB SPORTS)
青コーナー宮川晟(横浜光)
結果宮川晟の判定勝ち(2-0)
採点58-56、58-56、57-57(配信で発表)
配信U-NEXT

公式計量は浅井選手が47.1kg、宮川選手が47.4kg。浅井選手にとって、一力ジムからJB SPORTSへ移籍して初めての試合です。

なお、配信では宮川選手はA級ライセンスを持つ選手と紹介されていましたが、今回は6回戦での出場でした。A級取得後も、すべての試合を8回戦以上で戦うわけではありません。

4回戦・6回戦・8回戦とライセンスの関係はこちらの記事で解説しています。

試合中の様子は、DYNAMIC GLOVE公式Xにも投稿されています。

浅井レイト選手に関心を持った理由

浅井選手には先天性四肢障害があり、手足の指の一部が欠損しています。K-1での競技経験を経てプロボクシングへ転向。この試合を迎えるまでの戦績は、7戦5勝(2KO)2敗でした。

私は本職でパラアスリートを取材しており、2024年にはパリパラリンピックにも足を運んでいます。車いすバスケットボールなどに触れてきた私が強く引かれたのは、浅井選手が障害別のカテゴリーではなく、日本のプロボクシングのリングで戦っていることでした。

浅井選手を知ったきっかけはXです。それまで試合を見たことがなかったため、「どのようなボクシングをするのだろう」と今回の移籍初戦を視聴しました。

2024年パリパラリンピックの車いすバスケットボール会場

2024年パリパラリンピックで車いすバスケットボールを取材した際の会場。パラスポーツを取材してきた経験も、浅井レイト選手に関心を持った背景にあります。

浅井選手のこれまでを知るには、本人を特集した以下の映像も参考になります。

試合全体の流れ|浅井が前進し、宮川が長いパンチで迎え撃つ

両者ともサウスポー。身長とリーチで上回る宮川選手に対し、浅井選手がどう距離を詰めるか。そこが序盤からの焦点でした。

浅井選手は前へ出て、低く構えた右のリードから懐へ入ります。距離が詰まれば、顔だけでなくボディーにもパンチを散らし、コンビネーションで攻撃をまとめる形です。

対する宮川選手は、長い右ジャブで前進を止め、入ってくるところへ左ストレートを合わせます。浅井選手もジャブに左をかぶせようと応戦。近い距離では、互いに手を止めない攻防が続きます。

クリンチで流れが途切れる場面はわずか。浅井選手が距離を詰めて連打を出し、宮川選手が長いパンチで押し返す展開となりました。

後半に入ると、宮川選手のジャブと左ストレートが存在感を増します。浅井選手は前進を続けるものの、懐へ入るまでにパンチを受ける場面が増えていきます。そのぶん、宮川選手が自分の距離で戦う時間も長くなりました。

採点は58-56が2者、57-57が1者。宮川選手が2-0の判定勝ちを収めました。なお、私個人の採点はドローです。

元プロとして注目した3つのポイント

浅井レイトの低い右手と接近戦への入り方

浅井選手の構えは、右手を低く置くL字ガードに近い形。そこから右のリードを出し、体を動かしながら細かく距離を詰め、接近戦へ持ち込みます。

懐へ入ったあとは単発で終わらず、複数のパンチをまとめます。顔へ意識を向けさせてからボディーを打つなど、上下への打ち分けも印象に残りました。

さらに、打ち終わりには頭を動かし、その場に残りません。特に印象に残ったのが、左オーバーハンドを振ったあとの動きです。

パンチのあとに頭を左へウィービングし、その体重移動を使って右フックへつなげていました。攻撃を終えてから守りへ切り替えるのではなく、頭を外しながら次のパンチを返す。攻防を分離させない動きです。

宮川晟のジャブが浅井の前進を止めた

今回の試合を分けたパンチの一つが、宮川選手の右ジャブです。後半にかけて、浅井選手が距離を詰めようとするところへ長く伸ばし、前進の勢いを削ります。

また、浅井選手が右手を低い位置に置くぶん、宮川選手の左ストレートが上から通りやすくなった可能性もあります。これは映像からの考察ですが、身長とリーチの差を含め、浅井選手には対応の難しい軌道だったのではないでしょうか。

特に後半は、ジャブで距離を保ち、左ストレートへ続ける形が機能。浅井選手の前進と手数に対し、宮川選手は長いパンチのクリーンヒットで対抗しました。

2-0の判定に表れた「前進」と「有効打」の評価

浅井選手は前へ出て接近戦を作り、手数で勝負します。対する宮川選手は、長いリーチを生かしてジャブと左ストレートを的確に当てる形。両者の持ち味がぶつかった試合です。

私の目には、どちらに転んでもおかしくないラウンドが複数ありました。実際の採点も58-56、58-56、57-57。浅井選手の積極性と宮川選手の有効打をどう評価するかで、見方が分かれた試合だったと言えます。

前進そのものがポイントになるわけではありません。ただ、明確なパンチを返せず相手に動かされ続ければ、試合の主導権を渡したように映ることがあります。今回は宮川選手がジャブと左ストレートを返し、浅井選手の前進をそのまま攻勢にさせなかった。そこが判定につながったと考えています。

ボクシングの採点基準や、同じラウンドでもジャッジによって評価が分かれる理由は、以下の記事で解説しています。

ボクシングの採点基準と判定が分かれる理由を元プロが解説

元プロとして見た勝敗の分岐点
  • 浅井選手は前進から接近戦を作り、上下へパンチを散らした
  • 宮川選手は長いジャブで侵入を止め、左ストレートへつなげた
  • 後半は浅井選手が距離を詰める前の被弾が増えた

試合写真で振り返る浅井レイトvs宮川晟

現地から投稿された試合写真には、浅井選手が踏み込み、宮川選手が長い距離から迎え撃つ両者の攻防が収められています。

まとめ|浅井レイトをボクサーとして追い続けたい

結果は、宮川晟選手の2-0判定勝ちです。

浅井選手は前進して懐へ入り、接近戦ではパンチを上下に散らしました。宮川選手は、身長とリーチを生かしたジャブと左ストレートで迎え撃ち、後半になるほど自分の距離で戦う時間を増やしていきます。

浅井選手を知ったきっかけは、その身体的な特徴です。しかし今回の試合で見ていたのは、どのように距離を詰めるのか、接近戦でどう手をまとめるのか、長いジャブへどう対応するのかという、ボクサーとしての攻防でした。

今回は判定で敗れましたが、JB SPORTSへ移籍して初めての試合でした。新しい環境で得た経験を、どう次戦へつなげるのか。今後も浅井レイトというボクサーに注目していきたいと思います。

国内ボクシングの配信予定は、以下の記事で随時更新しています。

2026年9月・10月のボクシング配信予定一覧


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この記事を書いた人

元A級プロボクサー。26歳のとき、会社員として働きながらダイエットを目的にボクシングを始め、28歳でプロライセンスを取得。29歳でデビューし、37歳を目前に引退した。プロ通算戦績は15戦5勝8敗2分。

本業では、企業オウンドメディアのYouTubeスポーツ番組でディレクターを務める。RING LIVERARYでは、自身のリング経験とコンテンツ制作の知見をもとに、主に後楽園ホールで行われる国内興行の試合結果・戦評や注目選手の解説を発信。結果だけでなく、勝敗を分けたポイントや技術的な見どころまで、元プロの視点から掘り下げています。

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