2026年東日本新人王決勝 全11試合の結果と戦評|距離と勝負の分岐点

2026年東日本新人王決勝 全11試合の結果と戦評

2026年11月3日、後楽園ホールで第83回東日本新人王決勝が行われました。実施された全11試合をU-NEXTで視聴。勝敗を分けたパンチと距離の攻防を振り返ります。

試合前の注目点は、全11試合の展望記事にまとめています。

目次

東日本新人王決勝・全11試合の結果

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階級対戦結果
ミニマム級林兼士 vs 関純輝林の3-0判定勝ち(50-44×3)
フライ級柳田優希 vs 井野慶信柳田の3-0判定勝ち(49-46×2、50-45)
スーパーフライ級髙森悠叶 vs 佐藤竜冴佐藤の2回2分41秒TKO勝ち
バンタム級布元寿弥 vs 江崎由布元の3-0判定勝ち(48-47×2、49-46)
スーパーバンタム級西本剛 vs 小林蓮小林の1回2分20秒TKO勝ち
フェザー級一寿希ケケ vs 福山弘樹福山の3-0判定勝ち(48-47×3)
スーパーフェザー級蛯名創魅 vs 尾上剣清蛯名の2-1判定勝ち(蛯名支持48-47×2、尾上支持48-47)
ライト級地家直弥 vs 松永敦朗松永の2回2分29秒TKO勝ち
スーパーライト級竹内凰騎 vs 磯谷広太磯谷の3-0判定勝ち(50-44×3)
ウェルター級杉本鉄尚 vs カドカ・ダルシャンカドカの4回TKO勝ち(決着時間は確認中)
ミドル級岡村弥徳 vs 筒井ちび太筒井の5回31秒TKO勝ち

※ライトフライ級は當山楓真の棄権により児島義輝の不戦勝と案内されたため、上の11試合には含めていません。採点には筆者が配信で聞き取ったものを含み、一部の記録は記事末尾の報道とも照合しています。JBCの11月3日分の試合報告書は、記事作成時点で未掲載です。

今大会の三賞

大会の三賞には、次の3選手が選ばれました。三賞の発表(日刊スポーツ)

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賞階級選手
最優秀選手賞スーパーバンタム級小林蓮(RK蒲田)
敢闘賞スーパーフライ級佐藤竜冴(横浜光)
技能賞スーパーライト級磯谷広太(三迫)

林兼士vs関純輝|前手で反応を引き出し、左を通した林

林が3-0(50-44×3)の判定勝ち。3回には左フックでダウンも奪いました。

▶ 林兼士vs関純輝のハイライトを見る(YouTube)

初回は互いに動きが速く、関の連打が届く場面もありました。流れが変わったのは終盤。林が左ストレートを当てると、2回以降は軽快な足と遠くから伸びる右リードで自分の距離を作り、関に簡単には踏み込ませません。

3回のダウンは、林が前手をさまざまな角度から見せた後、左のロングフックを顔面へ通した場面です。前手で関の反応を引き出しておいたことが、左につながったように見えました。打ち終わりにも動き、関の返しを外してから再び打つ。5回まで続いた攻防一体の動きです。

前手をL字に近い形で構え、右アッパーも見せる姿は、同じ大橋ジムの武居由樹を思わせます。あくまで動きについての印象です。林の勝因は、前手と足で距離を保ち、左を通す組み立てにあったと見ています。

柳田優希vs井野慶信|接近を受けても距離を取り戻した柳田

柳田が3-0(49-46×2、50-45)の判定で井野を下しました。採点は配信映像の発表を見直して確認しています。

▶ 柳田優希vs井野慶信のハイライトを見る(YouTube)

長身サウスポーの柳田は、ジャブと左ストレートが届く長い距離で戦います。そこへ井野は頭を動かしながら勢いよく踏み込み、近い距離での打ち合いへ。一見荒々しい攻めですが、柳田の長いパンチが生きる距離を消すという点では有効な選択だったと思います。初回は柳田がきれいに運び、2〜4回は井野の前進が目立つ展開でした。

5回に井野の前進が鈍ると、柳田は距離を取り直して左を通しました。井野は中へ入るところまでが良かっただけに、近づいた後も大きなフックが中心になったのは惜しいところ。短いボディやショートフックを重ねられれば、違う攻防も生まれたでしょう。柳田は接近戦を受けながらも、最後に自分の距離を取り戻しました。

髙森悠叶vs佐藤竜冴|右を警戒させ、冷静にまとめた佐藤

佐藤が2回2分41秒TKOで勝利。2回のダウンを奪ったパンチは、報道では右フックとされています。

▶ 髙森悠叶vs佐藤竜冴のハイライトを見る(YouTube)

初回は互いにジャブで探り合い。佐藤は姿勢を低くして前手を突き、徐々に間合いを詰めます。右アッパーや左ボディも織り込み、強い右だけに頼らない攻めを見せました。

ダウンを奪った後も急がず、ジャブから入り直して連打へつなげます。相手を追う場面でも形を崩さない冷静さ。それが強打を生かす土台になっていました。

布元寿弥vs江崎由|詰められても距離を作り直した布元

布元が3-0(48-47×2、49-46)の判定で競り勝ちました。

▶ 布元寿弥vs江崎由のハイライトを見る(YouTube)

江崎は中へ入って短いパンチを当て、布元の距離を崩そうとしました。布元は左ストレートが届く位置を探り、接近を許しても下がり続けるだけではありません。必要な場面では自ら前へ出て打ち返す。どちらにポイントを付けるか迷うラウンドもありましたが、布元は遠い距離からの有効打を重ねていました。

準決勝でも、布元は前へ来る相手に手を焼いたように見えました。今回も江崎に詰められる時間はあったものの、そのたびに距離を作り直しました。接戦を勝ち切るうえで、重要な対応だったと見ています。

西本剛vs小林蓮|ジャブの打ち終わりを捉えた小林の右

小林が1回2分20秒TKO勝ち。今大会の最優秀選手賞にも選ばれました。

▶ 西本剛vs小林蓮のハイライトを見る(YouTube)

互いにスピードのある攻防でしたが、序盤から小林の右オーバーハンド気味のパンチが西本へ届きます。西本のジャブの打ち終わりを捉えた右が顎へ。ここで主導権が一気に移りました。

最初に西本が崩れた場面は、配信映像ではダウンにも見えましたが、レフェリーはスリップと判断して再開。その後、小林が連打をまとめて試合が止まりました。西本も打ち返そうとしていましたが、映像だけでリング上の状態を判断することはできません。ストップについては、私には理解できる判断でした。

一寿希ケケvs福山弘樹|前進をさばき、距離を崩さなかった福山

福山が3-0(48-47×3)の判定で勝利。採点は筆者の観戦メモに基づきます。

▶ 一寿希ケケvs福山弘樹のハイライトを見る(YouTube)

福山はこまめなジャブで距離を管理し、ケケを簡単には中へ入れません。3回あたりからはケケのパンチも届き、攻防は接近戦へ。それでも福山はガードを保ち、ジャブとストレートで応じていました。

ロープを背負ったときにはクリンチで体を入れ替え、落ち着いて位置を取り直します。ケケの反撃を受けながらも、自分の距離を大きく失わない試合運びでした。

蛯名創魅vs尾上剣清|左ボディアッパーで近い距離を取った蛯名

蛯名が2-1の判定勝ち。観戦メモでは48-47の採点が3者で、うち2者が蛯名、1者が尾上を支持しています。

▶ 蛯名創魅vs尾上剣清のハイライトを見る(YouTube)

尾上は長いリードから連打を当て、序盤のリズムを作りました。対する蛯名は距離を潰して中へ入り、左ボディアッパーを通します。ボディから顔面へとアッパーをつなぐ、インサイドでの攻撃です。

尾上の手数が落ちた時間帯には、蛯名がインサイドから有効打を重ねたように見えました。尾上もパンチを返しており、採点が割れたのもうなずける接戦です。

地家直弥vs松永敦朗|直線の攻防からアッパーへ変えた松永

松永が2回2分29秒TKO勝ち。決着時間は観戦メモに基づきます。

▶ 地家直弥vs松永敦朗のハイライトを見る(YouTube)

フィジカルを生かして前へ出る地家に対し、松永はジャブとストレートで自分の距離を保ちました。下がるだけでなく、地家が入り切る前に先にパンチを届かせる。この迎撃が効いていました。

最初のダウンでは、それまで直線的なパンチを続けていた松永が、地家の入るか入らないかの距離でアッパーを出しました。この一撃のダメージが再開後の攻防にも影響したように見えます。最後は落ち着いて連打をまとめました。ジャブで距離を守り、詰まる瞬間にはアッパーへ。その切り替えが勝負の分岐点だったと考えます。

竹内凰騎vs磯谷広太|距離を管理し、打ったら動いた磯谷

磯谷が3-0(50-44×3)の判定勝ち。2回には左ストレートでダウンを奪ったと報じられています。

▶ 竹内凰騎vs磯谷広太のハイライトを見る(YouTube)

磯谷は得意な距離を保ちながら、ワンツーからフック、ボディ、前手のアッパーまで打ち分けました。打った後は横へ動き、竹内の正面に残らない。リードで前進を止めるだけでなく、次のパンチを打つ位置も先に取っていました。

3回以降は足を止めて打ち合う時間もありましたが、その意図までは映像だけでは分かりません。全体としては磯谷が距離を管理し、竹内に近い位置で攻め続ける時間を与えない内容でした。

杉本鉄尚vsカドカ・ダルシャン|ジャブと守備の差が出た後半

カドカが4回TKO勝ち。別の観戦記でも同じ結果が報告されていますが、決着時間は確認中です。

▶ 杉本鉄尚vsカドカ・ダルシャンのハイライトを見る(YouTube)

杉本は積極的に打っていましたが、顔面への被弾後には鼻血が出て、マウスピースを落とす場面もありました。後半は動きにも苦しさが見えます。一方のカドカはガードを保ち、遠い位置から一歩踏み込むワンツーで攻めました。

カドカがジャブでダウンを奪った場面では、杉本のジャブにタイミングを合わせたように見えました。杉本はプロ2戦目での5回戦。攻撃の良さも見せましたが、カドカは守りを崩さずに前へ出続けました。この攻防が続いた後半に、差が広がったと見ています。

岡村弥徳vs筒井ちび太|踏み込む前の仕掛けが効いた筒井

筒井が5回31秒TKO勝ちです。

▶ 岡村弥徳vs筒井ちび太のハイライトを見る(YouTube)

身長差のある岡村に対し、筒井はただ突っ込むのではなく、前手と細かなステップで入るタイミングをずらしました。ボディへのジャブも混ぜ、岡村が長い距離で迎撃する準備を整える前に踏み込む。入るまでの過程が丁寧でした。

近づいてからは大きめのフックが目立ち、すぐにはまとめ切れない時間もありました。それでも、距離を詰めるまでの前手と足の使い方は巧み。岡村の反応を見ながら入り続けたことが、筒井の勝因だったと見ています。

まとめ|距離を作る一手が勝負を分けた

林は前手と足で関を遠ざけ、柳田は井野に詰められても距離を取り戻しました。布元と福山は接近を受けながら長いパンチを生かし、佐藤と松永は間合いが変わる瞬間に決定打。勝ち方はそれぞれ違います。

同じ5回戦でも、得意な距離は選手によって違います。そこへ入る前に何を見せ、打った後にどこへ動くか。11試合を通じて目立ったのは、この一手の差でした。12月19日の全日本新人王決定戦でも、勝者たちがどんな距離を作るのか注目します。

12月19日の全日本新人王決定戦もU-NEXTで配信

12月19日(土)の第73回全日本新人王決定戦も、U-NEXTが独占ライブ配信を発表しています。配信開始時刻と個別の視聴ページは、発表後に確認してください。U-NEXTの配信予定発表

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この記事を書いた人

元A級プロボクサー。26歳のとき、会社員として働きながらダイエットを目的にボクシングを始め、28歳でプロライセンスを取得。29歳でデビューし、37歳を目前に引退した。プロ通算戦績は15戦5勝8敗2分。

本業では、企業オウンドメディアのYouTubeスポーツ番組でディレクターを務める。RING LIVERARYでは、自身のリング経験とコンテンツ制作の知見をもとに、主に後楽園ホールで行われる国内興行の試合結果・戦評や注目選手の解説を発信。結果だけでなく、勝敗を分けたポイントや技術的な見どころまで、元プロの視点から掘り下げています。

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