ボクシングの4回戦とは?6回戦・8回戦との違いとA・B・C級の仕組みを解説

ボクシングの4回戦とは?6回戦・8回戦との違いとA・B・C級の仕組みを解説

ボクシングの試合予定に書かれている「4回戦」「6回戦」「8回戦」。トーナメントの何回戦目かと思うかもしれませんが、そうではありません。その試合で予定されているラウンド数のことです。

ライセンスとの関係を簡単にまとめると、次のようになります。

  • 4回戦:C級ライセンス
  • 6回戦:B級ライセンス
  • 8回戦以上:A級ライセンス

ただし、ライセンスと実際の試合ラウンド数が常に一致するわけではありません。対戦相手のライセンスなどによって、A級選手の試合が6回戦で組まれる場合もあります。

この記事では、制度上の違いに加え、アマチュア経験なしでC級からスタートし、A級まで進んだ経験をもとに、ラウンド数が増えると戦い方がどう変わるのか、観戦するときはどこを見ると面白いのかを解説します。

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HIDEAKI TAKAGI
元A級プロボクサー。ボクシング歴10年、プロ歴7年半。

会社員として働きながら、26歳のときにダイエット目的でボクシングジムへ入会。未経験から競技を始め、28歳でプロライセンスを取得。

2014年10月、29歳でプロデビューし、初戦から2連勝。その後は勝敗を重ねるなかで6連敗を喫し、ジムを退会して引退。

しかし、35歳で現役復帰。37歳の定年を迎える直前までリングに立ち、通算15戦5勝8敗2分の戦績で現役生活を終えました。

目次

4回戦・6回戦・8回戦の違いを一覧で確認

最初に、ラウンド数とライセンスの違いを整理します。

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通称一般的なライセンス予定ラウンド数観戦するときのポイント
4回戦ボクサーC級最大4ラウンド立ち上がり、勢い、短時間で流れをつかむ力
6回戦ボクサーB級最大6ラウンド技術、スタミナ、ペース配分、試合中の修正
8回戦以上のボクサーA級8ラウンド以上技術、スタミナ、戦略、ポイントを考えた組み立て

JBC(日本ボクシングコミッション)の案内では、男子は1ラウンド3分、ラウンド間のインターバルは1分です。女子は1ラウンド2分、インターバルは1分となっています。

参考:JBC「ボクシング基礎知識」

ボクシングの4回戦とは?C級選手が戦う短期決戦

4回戦とは、最大4ラウンドで行われる試合です。一般的にはC級ライセンスの選手が出場し、多くのプロボクサーにとってキャリアの出発点になります。

新人王トーナメントの予選などでも、4回戦が多く組まれています。

短期決戦では立ち上がりが勝敗に影響しやすい

私が実際に戦って感じた4回戦の特徴は、やはり試合が短いことです。

技術がまだ完成していない選手でも、序盤から積極的に手を出し、有効な攻撃で主導権を握れば、その勢いを保ったまま判定まで進める可能性があります。

もちろん、前へ出たり手数を出したりするだけでポイントになるわけではありません。それでも4ラウンドしかないため、自分から仕掛けて有効打につなげ、相手に流れを渡さないことには大きな意味があります。

一度ポイントで出遅れると、巻き返すために残された時間は多くありません。相手の様子を見ているうちに試合が終わってしまうこともあるため、立ち上がりや思い切りのよさが勝敗へ影響しやすい試合形式です。

私自身は4回戦を9試合戦い、戦績は3勝4敗2分でした。順調に勝ち上がったわけではなく、出だしの悪さや短いラウンドの中で流れを取り返す難しさも経験しています。

【新人王トーナメントの仕組みや優勢点についてはこちら】

ボクシングの6回戦とは?B級で問われる技術とペース配分

6回戦とは、最大6ラウンドで行われる試合です。一般的にはB級ライセンスの選手が出場します。

4回戦から増えるのは2ラウンドだけです。ただ、実際に戦うと、単に試合時間が長くなるだけではありません。相手の経験や技術も上がり、求められる戦い方が変わってきます。

技術とスタミナの差が表れやすくなる

6回戦には、4回戦を勝ち上がってきた選手に加え、一定のアマチュア実績を持ってB級からプロ入りした選手もいます。

ジャブの使い方、距離の管理、攻撃後の守備など、細かな技術の差も表れやすくなります。序盤の勢いだけで押し切ろうとしても、相手に動きを読まれたり、途中で対応されたりすることがあります。

私が初めて6回戦を戦ったときも、4回戦と同じ感覚ではいけないと感じました。相手もB級まで上がってきた選手なので、それなりの経験があり、簡単には崩れません。

前半に出遅れても巻き返す時間がある

4回戦では、立ち上がりが悪いと本来の動きが出る前に試合が終わってしまうことがあります。

一方、6回戦では前半にポイントを失っても、後半にエンジンがかかれば巻き返す時間が残されています。後半にかけて調子を上げる選手にとっては、ラウンド数が増えることで持ち味を出しやすくなります。

ただし、4回戦と同じペースで序盤から飛ばしすぎれば、後半にスタミナ切れを起こします。どこで攻め、どこで力を使いすぎないようにするのか。6回戦ではペース配分も試合の一部になります。

相手を見ながら戦い方を変える頭脳も必要になる

4回戦にも駆け引きはありますが、6回戦になると頭脳戦の要素が少し強くなります。

ラウンド数が増える分、相手の癖や反応を見ながら戦い方を組み立て直す時間が生まれます。ジャブにどう反応するのか、前へ出たときに下がるのか打ち返してくるのか、どの場面で動きが落ちるのか。そうした変化を見ながら、距離や手数、狙うパンチを変えていく必要があります。

インターバルでセコンドの指示を聞き、次のラウンドで修正できるかも重要です。自分の得意な形を押し通すだけでなく、相手が変えてきたことに対してこちらも対応する。この駆け引きは、4回戦から6回戦へ上がったときに感じる違いの一つです。

走る距離を7〜8kmから10〜12kmへ増やした

私は6回戦へ上がるにあたり、足腰の持久力をつけるため、普段のロードワークを7〜8kmから10〜12kmへ増やしました。

ただ走る距離を増やせば勝てるという話ではありません。それでも、自分のボクシングを6ラウンド続けるには、疲れた状態でも足を動かし、構えを崩さないための土台が必要だと考えていました。

実際に戦ってみると、スタミナはパンチを出すためだけのものではありません。距離を保つ、相手の攻撃を外す、打ったあとに正しい位置へ戻る。そうした動きを最後まで続けるためにも、足腰の持久力が必要になります。

4回戦で苦戦した「後半型」が6回戦で持ち味を出すこともある

面白いのは、4回戦で勝てる選手が、そのまま6回戦でも強いとは限らないことです。

序盤から勢いを出せる選手は4回戦で流れをつかみやすい一方、同じペースを6ラウンド続けられなければ後半に失速します。

反対に、立ち上がりはよくなくても、後半にかけて強くなる選手もいます。このタイプは4回戦では持ち味を出す前に試合が終わるため、B級へ上がるまでに時間がかかることがあります。

しかし6回戦へ上がると、前半をしのぎながら相手の動きを読み、中盤以降にペースを上げる時間が生まれます。ラウンド数が増えたことで、それまで結果に表れにくかった強さが出てくる選手もいます。

単純に「6回戦の選手は4回戦の選手より強い」と見るだけでなく、ラウンド数によって選手の長所がどう表れるのかを見るのも、4〜6回戦を観戦する面白さです。

ボクシングの8回戦とは?A級で求められる試合全体の組み立て

8回戦は、一般的にA級ライセンスを持つ選手が出場する試合です。A級になると8回戦以上へ出場でき、日本ランキングやタイトル戦を本格的に意識する段階へ入ります。

ただし、A級ライセンスを取得した選手が、必ず8回戦を戦うわけではありません。

A級を取得しても公式戦は6回戦だった

私は6回戦で2勝したあとにA級ライセンスを取得しましたが、公式戦で8回戦を戦う前に現役を終えました。

現役最後の試合も6回戦です。対戦相手は日本ランカーでしたが、当時はB級ライセンスだったため、試合は6回戦で行われました。

このように、選手のライセンスと実際に組まれる試合のラウンド数が、常に同じになるとは限りません。

8回戦を想定して8ラウンドのスパーリングをした

公式戦で8回戦を経験したわけではありませんが、A級取得後は8回戦を想定した8ラウンドのスパーリングを行っていました。

周囲の選手やトレーナーから8回戦の戦い方を聞き、前半・中盤・後半の3段階で試合を考えるようにしていました。

6回戦以上にペース配分を細かく考え、どのラウンドで仕掛けるのか、ポイントで先行されたときにどこで取り返すのかを準備する必要があります。

判定はジャッジに委ねられます。自分ではポイントを取ったと思っていても、セコンドや観客、ジャッジから見た評価が一致するとは限りません。自分の感覚だけでなく、どちらが有効打を当て、試合の主導権を握っているように見えるのかを考える必要もあります。

公式戦で8回戦を戦った経験から言えることではありませんが、準備を通じて、8回戦では技術やスタミナに加えて、ラウンド全体をどう組み立てるかがより重要になると考えていました。

C級・B級・A級はどう昇級する?現役当時の条件

※以下の昇級基準は、筆者が現役だった2014〜2021年当時のものです。現在の運用とは異なる可能性があるため、最新情報はJBCまたは所属ジムへご確認ください。

私が現役だった当時は、C級選手が4回戦で通算4勝するとB級へ進級できました。引き分けは0.5勝として計算され、2引き分けで1勝相当です。

B級では、6回戦で通算2勝するとA級へ進級できました。

私はアマチュア経験がなかったため、C級テストからプロキャリアをスタートしました。

4回戦では3勝4敗2分。3勝に2引き分け分の1勝相当を加え、通算4勝としてB級へ上がりました。その後、6回戦で2勝し、A級ライセンスを取得しています。

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現在のJBC公式サイトでは、C級は4回戦、B級は6回戦まで、A級は8回戦以上というライセンス区分が案内されています。

また、アマチュアで全日本ランキング10位以内相当の実績を持つ選手は、B級テストの対象になります。全員が必ずC級から始めるわけではありません。 参考:JBC「Q&A」

級が上がると、試合のラウンド数だけでなく、ファイトマネーの基本額も変わる場合があります。私の現役当時のC級・B級・A級の基本額と、B級時代の実際の明細については、プロボクサーのファイトマネーはいくら?元プロの明細3件で見る報酬の内訳で詳しく紹介しています。

A級ライセンスに到達する難易度

A級ライセンスを取得する難しさを、正確な合格率や割合で示すことはできません。プロデビューした選手のうち、何割がA級まで進むのかを示す公表データは確認できませんでした。

少なくとも私が対戦し、見てきた範囲では、A級まで上がった選手に簡単な相手はいませんでした。

私自身も無敗でA級へ進んだわけではありません。4回戦で負けや引き分けを経験し、6回戦でも3連敗したあとに2勝してA級へ上がりました。

華々しい戦績の選手だけがA級になるわけではありませんが、負けたあとも試合を続け、必要な勝利を積み重ねなければ到達できない段階です。

A級ライセンスを取得したときは、ようやく日本ランキングを本格的に目指せる段階に来たと感じました。自分の中では、やっとプロボクサーとして一人前になれたような感覚がありました。

観戦するときはここを見る|4回戦・6回戦・8回戦の見どころ

ラウンド数を知っておくと、同じボクシングでも注目するポイントが変わります。

4回戦は勢いと短期勝負

4回戦では、技術が完成していない選手でも、気持ちの強さや勢いで試合の流れをつかむことがあります。

一つのダウンや1ラウンドの出遅れが、勝敗へ大きく影響します。細かな完成度だけでなく、選手がどれだけ思い切って自分のボクシングを出せるかに注目すると面白いです。

6回戦は技術とペース配分

6回戦になると、4回戦を勝ち上がった選手やアマチュア経験を持つ選手も増え、技術の違いが見えやすくなります。

序盤に先行した選手が逃げ切るのか、後半型の選手が巻き返すのか。スタミナだけでなく、試合の途中で相手へ対応する力も見どころです。

8回戦は試合全体の組み立て

8回戦では、前半にポイントを取るだけでなく、中盤の修正や終盤の勝負どころまで考える必要があります。

どのラウンドで仕掛けるのか、先行した選手がどう逃げ切るのか、追う選手がいつペースを上げるのか。技術やスタミナと一緒に、試合全体の組み立てを見ると楽しみ方が広がります。

まとめ|ラウンド数が変われば求められる能力も変わる

ボクシングの4回戦・6回戦・8回戦は、単に試合時間が長くなるだけではありません。

  • 4回戦は、立ち上がりと勢いが結果へ影響しやすい短期決戦
  • 6回戦は、技術、スタミナ、ペース配分、試合中の修正が求められる
  • 8回戦は、前半・中盤・後半を見据えた組み立てがより重要になる

4回戦では結果が出なかった後半型の選手が、6回戦で持ち味を発揮することもあります。反対に、4回戦を勢いで勝ち上がった選手が、ラウンド数の増加によって苦戦する場合もあります。

試合を見るときは、「この選手は短期決戦向きなのか」「後半に強いのか」「どこでペースを上げるのか」に注目してみてください。4〜8回戦の選手にも、それぞれ違った見どころがあります。

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この記事を書いた人

元A級プロボクサー。26歳のとき、会社員として働きながらダイエットを目的にボクシングを始め、28歳でプロライセンスを取得。29歳でデビューし、37歳を目前に引退した。プロ通算戦績は15戦5勝8敗2分。

本業では、企業オウンドメディアのYouTubeスポーツ番組でディレクターを務める。RING LIVERARYでは、自身のリング経験とコンテンツ制作の知見をもとに、主に後楽園ホールで行われる国内興行の試合結果・戦評や注目選手の解説を発信。結果だけでなく、勝敗を分けたポイントや技術的な見どころまで、元プロの視点から掘り下げています。

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