4回戦は「花形興行の裏方」と見られがちだが、東日本新人王予選はその舞台が完成される場所だ。勝てば即トーナメント表を進められ、負ければキャリアに長い影を落とす。
2026年7月29日、後楽園ホールでは第83回東日本新人王トーナメントの予選が9試合一挙に行われる。元キックボクサーからの転向、3年ぶりの復帰戦、17歳デビュー戦まで──関東のジムが総力を挙げて送り込む”次世代の原石”たちを一晩で俯瞰できる稀有な興行だ。本稿では、プロボクシング記者として注目カードを横断的にレビューする。
■ 興行概要
- 日時:2026年7月29日(水)18:00 開始(開場 17:30)
- 会場:後楽園ホール(東京都文京区後楽1-3)
- 興行名:DANGANオール4回戦 東日本新人王予選
- 参加費:S指定 11,000円 / A指定 8,800円 / B指定 6,600円
- 配信:BOXING RAISE 同日18:00 ライブ配信
- 試合数:全9試合(4回戦×新人王予選)
- 階級分布:ミニマム1・Sバンタム3・ライト2・Sライト2・ミドル1
DANGANは2012年に始動した東京・墨田区拠点のプロモーション。年間20興行以上を後楽園中心に主催し、新人王予選の”登竜門”として機能してきた。今回はその最新章に当たる。
■ 全9試合 対戦カード一覧
以下は公式発表と各ジム情報をもとにした一覧。戦績は2026年7月時点の公開データを出典とする。
| 試合順 | 階級 | 赤コーナー | 青コーナー |
|---|---|---|---|
| 第1試合 | ミニマム級 4回戦 |
佐々木 祢央 (21) S根本 0戦0勝0敗0分 (デビュー) |
江郷 大空 (17) FLARE山上 0戦0勝0敗0分 (デビュー) |
| 第2試合 | ライト級 東日本新人王予選 |
地家 直弥 (34) ワタナベ 2戦2勝(2KO)0敗 |
炎堂 勇希 (25) 横浜光 5戦2勝(1KO)2敗1分 |
| 第3試合 | バンタム級 東日本新人王予選 |
布元 寿弥 (26) 角海老宝石 6戦4勝(1KO)1敗1分 |
梶原 孝司 (30) 木更津GB 4戦3勝(1KO)1敗0分 |
| 第4試合 | Sバンタム級 東日本新人王予選 |
光吉 未来 (20) ワタナベ 4戦2勝(2KO)2敗 |
和賀 丈晃 (32) 金子 4戦3勝(1KO)0敗1分 |
| 第5試合 | Sバンタム級 東日本新人王予選 |
西本 剛 (26) 角海老宝石 3戦2勝(2KO)0敗1分 |
井上 拓海 (20) 花形 5戦2勝1敗2分 |
| 第6試合 | ライト級 東日本新人王予選 |
古殿 涼 (26) ワタナベ 4戦3勝1敗0分 |
國井 大和 花形 1戦1勝(1KO)0敗0分 |
| 第7試合 | ミドル級 東日本新人王予選 |
岡村 弥徳 (28) 八王子中屋 5戦2勝(1KO)3敗 |
内田 光樹 (30) 花形 2戦2勝(2KO)0敗 |
| 第8試合 | Sライト級 東日本新人王予選 |
野口 和馬 (25) ワタナベ 1戦0勝1敗0分 |
磯谷 広太 (19) 三迫 4戦3勝1敗0分 |
| 第9試合 | Sライト級 東日本新人王予選 |
五百久 大 (24) 厚木ワタナベ 5戦3勝(1KO)2敗 |
諸戸 明来 (25) 花形 5戦2勝(2KO)2敗1分 |
■ 注目選手・見どころ
① 岡村 弥徳(八王子中屋)— 復帰戦 × 3度目の正直
2023年1月の右手負傷・手術により約3年半の長期離脱。階級を ウェルター→ミドル へ上げて再挑戦する。通算5戦2勝(1KO)3敗と実績は伸び悩みだが、183cmと身長は高く、ミドル級では少し細めの体格。デビュ戦ーでは帝拳の赤井英五郎選手を1RKOするパンチ力は今回の新人王戦でも期待大。八王子中屋ジムは「3度目の正直で新人王獲得」と公称する。
② 磯谷 広太(三迫)— “輪島” の血筋がSライト級に殴り込み
父方は元WBA世界スーパーフライ級王者・輪島功一の血筋。祖父ゆかりの三迫ジムに移籍済みの”金の卵”であり、昨年は東日本新人王決勝で敗れてしまったが、180cmの長身サウスポーの磯谷は右のリードとフットワークで距離感を計り、入ってきた選手には左ストレートを合わせる。など戦績こそKOはないが倒せる一撃必殺のパンチに注目!今年の新人王最有力選手の一人。
③ 古殿 涼(ワタナベ)— ライト級 “3KO男” の洗礼試合
2022年プロデビューも、プロ初勝利まで3年を要した苦労人。アマチュア戦績:15戦7勝8敗でデビュー戦こそKO負けを喫しているが25年の菅田恭平戦以降は3戦3勝3KOと鮮烈復活を遂げ、注目選手の一人。
直近の平良 龍輝戦(中野サイトウ)では手数ある相手の攻撃を固いガードで防ぎ、接近戦では左ボディから左フック、中間距離では右ストレートやボディストレートから返の左フックなど多彩なパンチでダメージを与え、最後に相手をマットに沈めた狙い澄まされたワンツーは見もの。
■ 編集長の勝敗予想
| 試合順 | 階級 | 赤コーナー | 青コーナー | キーポイント |
|---|---|---|---|---|
| 第1試合 | ミニマム級 4回戦 | 佐々木 祢央 | 江郷 大空 | 両者デビュー、明日のJCL王者候補の”洗礼” |
| 第2試合 | ライト級 東日本新人王予選 | 地家 直弥 | 炎堂 勇希 | 34歳のベテラン vs 25歳ボクサーファイター |
| 第3試合 | バンタム級 東日本新人王予選 | 布元 寿弥 | 梶原 孝司 | 35戦のアマ+角海老系のパワー |
| 第4試合 | Sバンタム級 東日本新人王予選 | 光吉 未来 | 和賀 丈晃 | 32歳のラストチャンス、4戦3勝の安定感 |
| 第5試合 | Sバンタム級 東日本新人王予選 | 西本 剛 | 井上 拓海 | 角海老宝石勢の安定感、2戦2KOの不敗継続 |
| 第6試合 | ライト級 東日本新人王予選 | 古殿 涼 | 國井 大和 | ライト級の巧者、KO率75%のパンチ |
| 第7試合 | ミドル級 東日本新人王予選 | 岡村 弥徳 | 内田 光樹 | 復帰の”エンジン” vs 王者の”伸びしろ” |
| 第8試合 | Sライト級 東日本新人王予選 | 野口 和馬 | 磯谷 広太 | 体格差+三迫仕込みのフィジカル |
| 第9試合 | Sライト級 東日本新人王予選 | 五百久 大 | 諸戸 明来 | 4RTKOの破壊力+ワタナベ系列の完成度で上回る |
■ 過去3回 DANGAN新人王予選のKO率(参考データ)
| 開催日 | 全試合 | KO決着 | KO率 |
|---|---|---|---|
| 2026.6.17 | 13 | 10 | 77% |
| 2026.5.18 | ― | ― | 判定多め |
| 2026.1.30 | ― | ― | 判定中心 |
6月公演で”KO連発”を記録したDANGANの新人王予選は、4回戦ということもあり”一撃の破壊力”が出やすい傾向がある。今回も序盤KOの連続か、波乱の判定か──その両方を見届けたい一晩だ。
■ 未来の王者の激戦は後楽園ホールで現地観戦
4回戦の選手たちは”何者でもない”からこそ面白い。
タイトルマッチのような派手さはなくとも、翌週のランキングをにらむ攻防と、アマチュア上がりのプロとしての矜持が交差するこの興行。チケットは6,600円(B指定)から、配信は BOXING RAISE で完全無料視聴可能。まず配信で”空気感”を確かめ、来場を決断するのも一手だ。
会場アクセス(後楽園ホール)
- JR「水道橋駅」西口 … 徒歩 約5分
- 都営三田線「水道橋駅」A2出口 … 徒歩 約5分
- メトロ丸ノ内線/南北線「後楽園駅」2番出口 … 徒歩 約5分
- 都営大江戸線「春日駅」6番出口 … 徒歩 約8分
※本記事の試合順・所属・戦績は2026年7月時点の最新公開情報に基づきます。一部でジム公式の発表と異なる場合があります。当日の前日計量および公式発表も併せてご確認ください。


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